カスタードクリームよりも軽やかで、バタークリームよりも重くない、上品なコクのあるクリームを作りたい。
そんな時にプロが選ぶのがディプロマットクリームです。
本記事では、ディプロマットクリームとは何かという基本から、本格的な作り方、失敗しないコツ、さらにシュークリームやタルト、ロールケーキなどへの具体的な使い方まで、洋菓子のプロの視点で詳しく解説します。
家庭用の道具で再現できるレシピと配合バランスも紹介しますので、パティスリーのような味わいをぜひご自宅で楽しんでください。
目次
ディプロマットクリームとは 作り方 使い方をまず理解しよう
ディプロマットクリームとは、カスタードクリームに泡立てた生クリームを合わせた、なめらかで軽い口当たりが特徴のクリームです。
フランスの伝統的な技法に基づくクリームでありながら、材料はシンプルで、家庭でも再現しやすいのが魅力です。
作り方のポイントと使い方をセットで理解することで、失敗なく幅広いお菓子に応用できるようになります。
本章では、ディプロマットクリームの定義、由来、そして他の代表的なクリームとの違いを整理し、全体像をつかみます。
あとから紹介するレシピやアレンジの理解を深めるための基礎部分ですので、プロを目指す方はもちろん、お菓子作り初心者の方も一度しっかり読んでおくと、後の仕上がりに大きく差が出ます。
ディプロマットクリームとは何か
ディプロマットクリームとは、フランス菓子でよく使われるクリームの一種で、カスタードクリームにホイップした生クリームを加えたものを指します。
カスタードの卵とミルクのコクに、生クリームのまろやかさと軽さが加わり、口どけが非常に良いのが特徴です。
日本ではカスタードクリームと生クリームを混ぜたクリームと説明されることが多いですが、実際には、卵黄・牛乳・砂糖・デンプンによるカスタードのしっかりしたベースと、生クリームの比率、そして混ぜ方の技術が仕上がりを大きく左右します。
パティスリーでは、シュークリーム、エクレア、フルーツタルト、ミルフィーユ、ロールケーキのフィリングなど、多くの生菓子の核となる存在です。
カスタードのみよりも軽く、純生クリームよりもダレにくいため、形を保ちつつ、食べた時の重さを感じにくい利点があります。
このバランスの良さから、プロがショーケースの主力商品に選ぶことの多い実用性の高いクリームです。
名前の由来とフランス菓子との関係
ディプロマットという名前は、フランス語の名誉称号や外交官を表す言葉に由来するとされ、かつてもてなしの席で使われた格調高いデザートからこの名がついたと言われています。
フランス菓子の世界では、伝統的な配合や技法が体系化されており、ディプロマットクリームもその一つとして受け継がれてきました。
日本では、洋菓子店やホテルのデザートで広く使用されている一方で、家庭向けのレシピ本などでは、単にカスタードと生クリームを混ぜたクリームとして紹介されることもあります。
しかし、プロの現場では、カスタードクリームの濃度、生クリームの脂肪分、加える割合、そしてゼラチンやリキュールの有無などを調整しながら、商品ごとに最適なディプロマットクリームを設計しています。
この背景を知ると、単なる混合クリームではなく、フランス菓子の理論に基づいた重要なパーツであることが理解しやすくなります。
カスタードクリームや生クリームとの違い
ディプロマットクリームをより深く理解するには、カスタードクリームや生クリームとの違いを整理することが有効です。
それぞれの特徴を比較すると、用途や仕上がりのイメージが明確になります。
| 種類 | 主な材料 | 食感・特徴 | 向いている用途 |
| カスタードクリーム | 牛乳、卵黄、砂糖、薄力粉またはコーンスターチ | 濃厚でしっかりめ、卵の風味が強い | シュークリーム、タルト、クリームパン |
| 生クリーム(ホイップ) | 生クリーム、砂糖 | 軽くふんわり、ミルキーで口どけが早い | ショートケーキのナッペ、デコレーション |
| ディプロマットクリーム | カスタードクリーム+ホイップクリーム | 軽くなめらかだが、適度なコクと安定感がある | シュー、タルト、ムース風ケーキ、ロールケーキ |
このように、ディプロマットクリームは両者の中間的な位置づけにあり、軽さとコク、扱いやすさのバランスが非常に優れているクリームと言えます。
そのため、プロが求める見栄えと食べやすさを両立しやすく、幅広いレシピで選ばれています。
ディプロマットクリームの基本の作り方とレシピ
ここでは、家庭でも再現しやすい基本のディプロマットクリームのレシピと手順を解説します。
必要な材料と道具、配合の考え方、そして混ぜ合わせる順番や温度管理のポイントを押さえることで、なめらかで口どけの良いクリームに仕上げることができます。
特に重要なのが、カスタードクリームをしっかり冷やしてから生クリームと合わせることと、生クリームの泡立て具合です。
このバランスを誤ると、ぼそぼそになったり、分離したり、流れやすいクリームになる原因になります。
レシピとともにプロが現場で実践しているコツも紹介しますので、一つひとつ丁寧に確認してみてください。
必要な材料と基本配合
一般的なディプロマットクリームは、以下のような配合を基準にすると扱いやすくなります。ここでは、シュークリームやタルトに使いやすい、ややしっかりめの配合を紹介します。
| 材料 | 分量の目安 | ポイント |
| 牛乳 | 250ml | 風味を重視するなら成分無調整を使用 |
| 卵黄 | 3個分 | 卵黄多めでコクのあるカスタードに |
| グラニュー糖 | 60〜70g | 甘さはお好みで調整可能 |
| 薄力粉 | 15g | なめらかに仕上げたい場合は一部をコーンスターチに |
| コーンスターチ | 10g | もっちり感を抑え、口どけを良くする |
| バニラビーンズまたはバニラペースト | 適量 | 香りが味わい全体を引き上げる |
| 生クリーム(乳脂肪35〜42%) | 200ml | 脂肪分高めだとコクが増し、低めだと軽さが出る |
| グラニュー糖(ホイップ用) | 15〜20g | 用途に応じて甘さを調整 |
この配合は、カスタードクリームと生クリームの比率がだいたい1:1に近いバランスです。
シュークリームやタルトなど、フィリングとして使う場合に扱いやすく、一般家庭でも失敗しにくい分量になっています。
より軽くしたい場合は、生クリームの量を増やし、逆にカットしても形を保ちたいケーキには、生クリームをやや控えめにするなど、微調整していくと良いでしょう。
カスタードクリーム部分の正しい炊き方
ディプロマットクリームの土台となるカスタードクリームは、なめらかさと適度な固さの両立が重要です。
まず、卵黄とグラニュー糖をすり混ぜ、白っぽくなるまでしっかりと混ぜます。ここに薄力粉とコーンスターチを加え、粉気がなくなるまで混ぜておきます。
別鍋で、牛乳とバニラを温め、沸騰直前まで加熱したら、卵黄側に少しずつ注ぎ、ダマにならないように混ぜ合わせます。
再び鍋に戻し、中火から弱火で絶えずゴムベラまたはホイッパーで底をこするように混ぜながら加熱します。
最初はサラサラですが、次第にとろみがつき、ふつふつと泡が出始めたタイミングで、粉気にしっかり火が通り、もったりとした状態になります。
ここからさらに30秒〜1分ほど、しっかりと炊くことで粉っぽさが抜け、日持ちと安定性が増します。
炊き上がったら、清潔なバットなどに薄く広げ、表面にラップを密着させて、急冷することが大切です。
ホイップクリームとの合わせ方のコツ
カスタードクリームが完全に冷えたら、生クリームを合わせてディプロマットクリームに仕上げていきます。
まずカスタードは冷蔵庫から出して、ゴムベラまたはホイッパーでなめらかになるまでしっかりとほぐします。固いままではホイップクリームとなじまず、ダマの原因になりますので、この段階を丁寧に行うことが重要です。
生クリームは、しっかり冷やしたボウルで、氷水に当てながら泡立てます。
用途にもよりますが、ディプロマットクリームに使うホイップは、七分立てから八分立て程度、ツノが折れ曲がるくらいの固さに仕上げると混ざりやすく、口どけも良くなります。
合わせる際は、まずカスタードにホイップの一部を加えてよく混ぜ、固さを近づけてから、残りをゴムベラでさっくりとすくい上げるように混ぜます。
混ぜすぎると気泡がつぶれて重くなり、逆に混ぜ不足だとムラが残るため、ツヤが出て均一なクリーム色になったところで手を止めるのが目安です。
失敗しないためのポイントとよくあるトラブル
ディプロマットクリームは材料がシンプルな分、ちょっとした手順の違いが仕上がりに大きく影響します。
ここでは、よくある失敗例とその原因、そして事前に防ぐためのポイントを整理します。
分離してしまう、ゆるくて形が保てない、ダマができるといったトラブルは、原因を知っておけば確実に減らすことができます。
また、衛生面の注意点も重要です。卵と乳製品を使用するため、温度管理や保存時間を守らないと、風味だけでなく安全性にも影響します。
プロの現場で行われている考え方を取り入れることで、家庭でも安定したクオリティのクリームを再現できるようになります。
分離する・ぼそぼそになる原因と対策
ディプロマットクリームが分離してぼそぼそになってしまう主な原因は、温度と混ぜ方にあります。
カスタードクリームが冷え切っていない状態で、冷たいホイップクリームを加えると、脂肪分が不安定になり、油と水分が分かれやすくなります。
一方で、カスタードが冷えすぎて固まっているのに、十分にほぐさずに混ぜようとしても、均一に乳化せず、粒状の舌触りになりがちです。
対策としては、カスタードクリームは冷蔵庫から出して少し室温に戻し、なめらかにほぐしてから使うこと、生クリームはしっかり冷やした状態で七〜八分立てにすることが大切です。
混ぜ合わせる際には、最初にホイップの一部をカスタードに加え、なじませてから残りを加えることで、温度差や硬さの差を小さくできます。
もし分離しかけた場合は、少量のホイップを追加してよく混ぜるか、室温で少し置いてからゆっくり混ぜ直すと、持ち直すことがあります。
固さが足りない・ゆるいときの調整方法
クリームがゆるくて扱いにくい場合、生クリームの泡立て不足か、比率が多すぎる可能性があります。
ディプロマットクリームは用途によって求められる固さが異なりますが、シューやタルトのフィリングとして使う場合は、絞った形がある程度保てる硬さが必要です。
ホイップクリームが六分立て程度の状態で混ぜてしまうと、出来上がりがどうしても緩くなります。
固さが足りないと感じた場合は、同じ配合で少し固めに泡立てたホイップクリームを追加し、全体を整える方法があります。
また、カスタードを炊く段階で、やや固めの状態までしっかり炊き上げることも重要です。
さらに、長時間室温に放置すると緩みやすくなるため、作業が終わったらすぐに冷蔵庫で冷やし、使用直前に軽く混ぜてから使うようにすると安定します。
衛生面と保存の注意点
ディプロマットクリームは、卵と乳製品を多く含むため、衛生管理が重要です。
カスタードを炊く際には、粉気をなくすだけでなく、しっかりと高温で加熱することで微生物を抑える効果があります。
炊き上がったカスタードは、室温に長く放置せず、浅い容器に広げて急冷し、早めに冷蔵庫に入れることが鉄則です。
完成したディプロマットクリームは、冷蔵庫で保存し、可能であればその日のうち、遅くとも翌日までに使い切るのが理想です。
時間が経つと水分の離水や風味の劣化が進みます。
また、絞り袋やボウル、ゴムベラなどは、使用前にしっかり洗浄し、水気を拭き取っておくことで、雑菌の繁殖を防ぎます。
家庭でもプロと同じ意識で温度と時間を管理することが、安全でおいしいお菓子作りの基本です。
ディプロマットクリームの応用例とお菓子への使い方
ディプロマットクリームの魅力は、さまざまな洋菓子に応用できる汎用性の高さにあります。
シュークリームやエクレアといった定番はもちろん、フルーツタルト、ロールケーキ、グラスデザートなど、配合と固さを少し変えるだけで、幅広いメニューに対応できます。
ここでは、用途別に最適な固さや量の目安、組み合わせる生地やフルーツの選び方などを具体的に紹介します。
プロの考え方に沿って、用途ごとにディプロマットクリームの表情を変えていくイメージをつかむことで、オリジナルのレシピ開発にも応用しやすくなります。
シュークリーム・エクレアへの使い方
ディプロマットクリームは、シュー生地との相性が非常に良く、多くのパティスリーで採用されています。
シュークリームに使用する場合は、しっかり絞り入れても形が崩れないよう、やや固めに仕上げたディプロマットクリームがおすすめです。
カスタードをやや濃いめに炊き、生クリームの割合をカスタードと同量か、やや少なめにすると安定します。
エクレアに使う場合は、上掛けのグラサージュやチョコレートの甘さとのバランスを考え、ディプロマットクリームの甘さを少し抑えると全体の調和が取れます。
また、ラムやキルシュ、オレンジ系のリキュールをほんの少量加えると、風味に奥行きが生まれ、大人向けの味わいになります。
いずれの場合も、焼いたシュー生地は完全に冷ましてからクリームを詰めること、詰めた後は冷蔵保存し、できるだけ早めに食べることが大切です。
フルーツタルト・ショートケーキでの活用
フルーツタルトでは、タルト台の上に薄くディプロマットクリームを敷き、その上に季節の果物を美しく並べるスタイルが定番です。
この場合、タルト台のサクサク感を保つために、タルトとクリームの間にホワイトチョコレートやナパージュを薄く塗っておくと、水分の移行を防げます。
ディプロマットクリーム自体は、フルーツの酸味を引き立てるように、甘さ控えめに仕上げるのがおすすめです。
ショートケーキやロールケーキに使う場合、通常のホイップクリームよりもコクのある層を作りたいときに有効です。
特に、スポンジとスポンジの間のサンド部分をディプロマットクリームにし、外側は軽い純生クリームでナッペすると、食べたときの満足感と軽さを両立できます。
いちご、黄桃、キウイなどとの相性が良く、フルーツのジューシーさをしっかり支えながらも、口どけは重くなりすぎません。
グラスデザート・パフェへの展開
グラスや器に盛り付けるデザートでは、ディプロマットクリームの軽やかな質感が特に活きます。
ビスキュイやスポンジを小さくカットしたもの、コンポートしたフルーツやソース、クラッシュしたクッキーなどと層にして重ねると、見た目にも華やかなデザートになります。
この用途では、やや柔らかめのディプロマットクリームに仕上げると、スプーンで掬ったときの一体感が出やすくなります。
パフェの場合は、アイスクリームやソルベ、ゼリーなど、さまざまな要素と組み合わせます。
味の強いチョコレートやキャラメル、ベリーソースの間にディプロマットクリームを挟むことで、全体の味をまとめる役割を果たしてくれます。
グラスデザートは事前に仕込んでおける利点がありますが、長時間置くと層の境目がにじむこともあるため、提供のタイミングから逆算した仕込みが重要です。
用途別ディプロマットクリームの配合バリエーション
ディプロマットクリームは、カスタードクリームと生クリームの比率を変えることで、重さや固さ、口どけを自在に調整できます。
ここでは、代表的な用途ごとの配合の目安を表にまとめ、目的別に最適なディプロマットクリームを作るヒントを紹介します。
配合バリエーションを理解すると、同じレシピでも、シュー用、タルト用、ムース風デザート用など、少しの調整で印象の異なる仕上がりを作ることができます。
お菓子全体の構成と、食べ手にどのような印象を残したいかを意識してクリームを設計してみてください。
比率を変えたときの食感の違い
カスタードと生クリームの比率による違いを、以下の表に整理します。配合はあくまで目安ですが、食感のイメージをつかむ指標として活用してください。
| カスタード:生クリーム | 食感のイメージ | 主な用途 |
| 2:1 | カスタードの主張が強く、しっかりめ。コクが濃い | シュークリーム、パイ菓子、クリームパン |
| 1:1 | バランスの良い軽さとコク。万能タイプ | シュー、タルト、ロールケーキなど全般 |
| 1:1.5 | かなり軽くふんわり。口どけ重視 | グラスデザート、ムース風ケーキ、パフェ |
コクを優先したい場合はカスタードを多めに、軽さや口どけを優先したい場合は生クリームを多めにするのが基本の考え方です。
ただし、生クリームを増やすほど分離のリスクが上がるため、混ぜ方や使用するタイミングにはより注意が必要になります。
ゼラチンやリキュールを加えるアレンジ
ケーキのカット性や日持ちをさらに高めたい場合、少量のゼラチンを加えてディプロマットクリームを安定させる方法があります。
具体的には、粉ゼラチンを全体量の1〜1.5%程度、ふやかしてからカスタードの温かいうちに溶かし込み、完全に冷やし固めたあとで生クリームと合わせます。
こうすることで、クリームがしっかりと自立し、カットした際の断面が美しく保たれるようになります。
また、風味のバリエーションとして、ラム、キルシュ、グランマルニエなどの洋酒をほんの少量加えるのも有効です。
フルーツを組み合わせる場合はその香りと相性の良いリキュールを選ぶと、全体の一体感が増します。
お子さま向けやアルコールが苦手な方に提供する場合には、代わりにバニラ、柑橘の皮のすりおろし、紅茶やコーヒーの抽出液などで香りをつけると良いでしょう。
ダイエット志向・軽め志向の調整例
最近は、甘さ控えめや脂肪分を少し抑えたスイーツを好む方も増えています。
ディプロマットクリームでも、いくつかのポイントを押さえることで、軽やかな印象に調整することができます。
まず、生クリームは乳脂肪分35%前後のものを選び、砂糖の量をレシピの8〜9割程度に抑えると、口当たりがすっきりします。
さらに、カスタードクリーム部分の牛乳の一部を無糖ヨーグルトや低脂肪乳に置き換えると、コクを保ちつつも後味が軽くなります。
ただし、脂肪分を下げ過ぎると舌触りがやや水っぽく感じられることがあるため、風味とのバランスを見ながら少しずつ調整するのがポイントです。
甘さや脂肪分を抑える場合は、香りの良いバニラ、シトラス、スパイスなどを上手に使うことで、満足感を補うことができます。
プロの仕上がりに近づけるためのテクニック
同じレシピでも、細かなテクニック次第で仕上がりの印象は大きく変わります。
ここでは、パティスリーの現場で実際に行われている温度管理や作業の順序、絞り方や盛り付けの工夫など、プロの仕上がりに近づけるためのポイントを紹介します。
特に、クリームの温度と固さの見極め、道具の選び方・扱い方を意識するだけでも、家庭のキッチンで作るディプロマットクリームのクオリティは格段に向上します。
ひとつひとつは小さな違いですが、積み重ねることで、味だけでなく見た目にも洗練されたお菓子に仕上がります。
温度管理と作業の順序
ディプロマットクリーム作りで最も重要と言ってよいのが温度管理です。
カスタードを炊く際には、しっかり沸かして粉に火を通すこと、その後はできるだけ早く冷ますことがポイントになります。
冷ますときには、バットなどに平らに広げ、ラップを密着させて、粗熱が取れたら冷蔵庫に入れます。
生クリームは、使う直前までよく冷やしておき、できればボウルも冷蔵庫で冷やしておくと泡立ちが安定します。
カスタードと生クリームを合わせる作業は、涼しい環境で一気に行うのが理想です。
カスタードを完全に冷やす → 生クリームを泡立てる → すぐに合わせて仕上げる → すぐに冷蔵保存
という流れを意識することで、分離や離水を防ぎ、なめらかな状態を長く保つことができます。
絞り袋の使い方と仕上げの見栄え
完成したディプロマットクリームは、絞り袋を使って仕上げると、見た目がぐっとプロらしくなります。
絞り袋に入れる際は、一度に入れすぎず、半分くらいまでを目安にすると扱いやすく、圧力が均一にかかるため美しく絞れます。
口金は丸口金や星口金など、用途に応じて選び、絞る前に少量を別の器に出して、空気抜きと固さの最終確認をしておきましょう。
シュークリームの詰め口は、底面からでも側面からでも構いませんが、開けた穴が大きくなりすぎないよう、絞り袋の先を深く差し込んでから、一定の圧力で絞り入れるのがコツです。
タルトやデザートカップに絞る場合は、中心から外側へ、あるいは渦巻き状に絞ると、規則正しい模様になり、上に重ねるフルーツの配置も整えやすくなります。
前日仕込みと提供タイミングの考え方
ディプロマットクリームは、作ってすぐに使うのが理想ですが、実際の現場では前日仕込みを行うことも少なくありません。
その場合は、カスタードクリームまでを前日に仕込み、当日生クリームと合わせて仕上げる方法が最も安定します。
カスタードは冷蔵保存中にやや固くなりますが、当日しっかりとほぐしてからホイップと合わせれば問題ありません。
一方、完成したディプロマットクリームを翌日まで持ち越す場合は、冷蔵でしっかり冷やし、使用前に軽く混ぜてなめらかさを戻してから使います。
ただし、時間の経過とともに水分が出たり、香りが弱くなったりするため、風味と食感のピークは仕上げ当日から数時間以内と考えておくと良いでしょう。
シューやタルトに詰めるタイミングも、提供の数時間前を目安にすると、生地の食感とクリームのなじみ具合のバランスが取れます。
まとめ
ディプロマットクリームとは、カスタードクリームとホイップクリームを組み合わせた、軽やかでありながらコクのあるクリームです。
カスタードの炊き方、生クリームの泡立て具合、合わせるときの温度や手順など、いくつかのポイントを押さえることで、家庭でもパティスリーに近い仕上がりを再現できます。
シュークリームやエクレア、フルーツタルト、ロールケーキ、グラスデザートなど、使い方の幅が広いのも大きな魅力です。
カスタードと生クリームの比率を変えたり、ゼラチンやリキュールでアレンジしたりすることで、目的に合わせたディプロマットクリームを設計できます。
基本の作り方と使い方をマスターすれば、洋菓子作りのレパートリーが一気に広がりますので、ぜひ何度か試しながら、自分好みのバランスを見つけてみてください。
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